受託開発とは?仕事内容やSESとの違いを現役SESエンジニアがわかりやすく解説

仕事・お金

受託開発とは?

IT業界の働き方を調べていると、

「受託開発」

という言葉をよく見かけます。

SESと何が違うのか。
SIerとは別物なのか。
自社開発とはどう違うのか。
最初は少し分かりにくいですよね。

受託開発を簡単に言えば、

お客様からシステムやアプリなどの開発を依頼され、自社のチームで開発する働き方です。

例えば企業から、

「在庫管理システムを作ってほしい」
「業務用のWebシステムを新しくしたい」
「スマートフォンアプリを開発してほしい」

といった依頼を受けます。
受託開発会社は、その依頼に対して設計・開発・テストなどを行い、完成したシステムをお客様へ提供します。

受託開発の仕事の流れ

プロジェクトによって違いはありますが、一般的には次のような流れで進みます。

  1. お客様から相談・依頼を受ける
  2. 要望や課題をヒアリングする
  3. 見積もり・提案を行う
  4. 要件定義・設計
  5. 開発
  6. テスト
  7. 納品・リリース
  8. 必要に応じて保守・運用

会社によっては要件定義から担当することもあれば、すでに仕様が決まった状態で開発部分だけを請け負うケースもあります。

一つの案件をチームで完成まで進められるのが、受託開発の特徴です。

受託開発とSESの違い

ここが一番気になるところだと思います。

大まかに整理すると、

受託開発は
「システムや成果物を作る仕事」

SESは
「エンジニアの技術力を提供する仕事」

という違いがあります。

例えば受託開発なら、お客様から、

「このシステムを作ってください」

と依頼を受けて、自社のチームで開発します。

一方SESでは、

「このプロジェクトにJavaエンジニアが必要です」

といった形で、エンジニアがプロジェクトへ参画します。

項目受託開発SES
主な目的システム・成果物の開発技術力・作業の提供
働く場所自社・リモートなどが中心客先・案件先も多い
チーム自社メンバー中心になりやすい客先チームへ参画することが多い
案件変更プロジェクト単位案件単位
キャリア開発工程・チーム開発を深めやすい幅広い現場を経験しやすい

ただし、実際の働き方は会社や契約によって異なります。

受託開発でも客先で作業する場合がありますし、SESでもリモート勤務や自社から参画するケースがあります。
また、「受託開発=必ず請負契約」「SES=必ず準委任契約」と単純に決まるものでもありません。

私も過去に派遣契約で客先に常駐する案件に携わってたことがあります。
一概にどっちがいいと言える話ではなく、求める働き方によってどういった開発の契約なのか、どういった働き方の契約が自分の考えとマッチするのかが変わってくると思います。

契約形態については別の記事で詳しく整理します。

受託開発とSIerの違い

ここも少しややこしいところです。

SIerは、

お客様のシステム導入を企画から開発・運用までまとめる企業

を指すことが多い言葉です。

一方、受託開発は、

お客様から依頼されたシステムを開発するビジネス・仕事の形

を表しています。

そのため、
SIerが受託開発を行うこともあります。

つまり、

SIerと受託開発は完全に別のカテゴリーではありません。

大手SIerがプロジェクト全体を管理し、その一部の開発を受託開発会社へ依頼することもあります。

受託開発と自社開発の違い

受託開発と自社開発は、誰のために作るのかが大きく違います。

受託開発は、

お客様のためにシステムを作ります。

自社開発は、

自分たちのサービスを作ります。

例えば、

企業から依頼されてECサイトを作るなら受託開発。
自社で新しいWebサービスを企画して運営するなら自社開発です。

自社開発では、
ユーザーの反応を見ながら長期間サービスを改善していくことができます。

一方、受託開発では、
さまざまなお客様や業界のシステムを経験できる魅力があります。

受託開発のメリット

自社チームで開発しやすい

受託開発では、自社のエンジニアとチームを組んで開発するケースが多くあります。

SESのように案件先の組織へ一人で参画するケースと比べると、
社内に技術やノウハウを蓄積しやすいのはメリットです。

先輩エンジニアに相談したり、社内でレビューを受けたりしやすい会社もあります。

開発の最初から最後まで経験できる

案件によっては、
要件定義から設計、開発、テスト、リリースまで一連の工程を経験できます。

「プログラムを書くところだけではなく、システム開発全体を理解したい」

という人には魅力的です。

いろいろな業界のシステムを作れる

お客様から依頼を受けるため、

製造業
小売
医療
金融
Webサービス

など、さまざまな業界の案件を経験できる可能性があります。
この点はSESと似た魅力があります。

受託開発のデメリット

納期の影響を受けやすい

受託開発では、納品する期限が決まっていることがあります。

開発が予定より遅れれば、
リリース前に忙しくなることもあります。

特に仕様変更やトラブルが重なると、
開発チームへの負荷が大きくなることがあります。

お客様の要望に左右される

自社開発とは違い、
基本的にはお客様から依頼されたものを作ります。

そのため、

「自分はこう作りたい」

と思っていても、
予算や納期、顧客要望によって実現できない場合があります。

会社によって開発環境の差が大きい

同じ受託開発会社でも、
モダンな技術を積極的に採用する会社もあれば、
昔から使われている技術を中心に扱う会社もあります。

また、
要件定義から担当する会社もあれば、
下流工程中心の会社もあります。

そのため転職する場合は、

「受託開発会社だから良い」ではなく、どんな案件を受注している会社なのかを見ることが重要です。

これはSES企業を選ぶ時と似ています。

受託開発はどんな人に向いている?

受託開発は、こんな人に向いていると思います。

  • プログラミングや開発が好き
  • 自社のエンジニアとチームで仕事をしたい
  • いろいろな業界のシステムを作りたい
  • 開発工程を一通り経験したい
  • お客様の要望を形にすることが好き

一方、
一つのサービスを何年も育てたい人なら自社開発。
自分の会社のIT環境を長く支えたい人なら社内SE。
さまざまな現場へ参画しながら経験を広げたい人ならSES。

という選択肢もあります。

SES経験者から見た受託開発

私はSESとして10年以上働いてきました。
SESの良さは、さまざまな現場や技術を経験できることです。

一方で、
案件が変わればチームも変わる。
人間関係も変わる。
開発環境も変わる。

という特徴があります。

その点、
自社メンバーを中心にチームを作り、
社内にノウハウを残しながら開発できる受託開発には魅力を感じます。

特に、

「開発そのものが好き」というエンジニアにとっては、受託開発は面白い選択肢だと思います。

ただし、
受託開発という名前だけで会社を選ぶのはおすすめしません。

どんな案件を受注しているのか。
一次請けなのか。
どこまでの工程を担当できるのか。
どんな技術を使っているのか。

こうした部分まで確認することが大切です。

働き方の名前より、

そこでどんな経験を積めるのか。

結局はそこがキャリアを左右すると思っています。

最近ではAIの登場、普及の影響もあり、どんどん新しい技術が出てきて
そういったものにアンテナ張ってキャッチできるような人であればもはや会社に縛られる必要と無くなってきている気もします。

とはいえ、多くの人がどこかしらの企業に所属しているので
どういう軸で働きたいかという、自身の価値観を自分が把握していることが大事だと思います。

まとめ

受託開発とは、
お客様から依頼を受け、システムやアプリを開発する働き方です。

SESと比較すると、
自社チームで一つのプロジェクトを完成させる経験を積みやすいことが特徴です。

一方で、
納期や顧客要望の影響を受けるという難しさもあります。

SES
SIer
社内SE
受託開発
自社開発

どれが一番優れているというものではありません。
複数の開発形態を持つ企業も少なくありません。

大切なのは、

「自分がどんな仕事をしたいか」

そして、

「その会社でどんな経験を積めるのか」

です。
働き方の名前だけで判断せず、自分が目指すキャリアから逆算して選んでいきましょう。

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